早期胃癌研究会は1960年、その母体である「初期癌研究会」として発足しました。1964年には名称を「早期胃癌研究会」と改め、1966年には研究会の記録を残すべく株式会社医学書院より「胃と腸」誌が発刊され、現在に至っております。
1955年当時、日本消化器病学会の主要テーマであった『早期胃癌の診断能を向上することによって、我国における胃癌の死亡率を低下させる』ことを目的に、エーザイ株式会社の応接間に集まって意見交換をしたのが始まりでした。その後、症例を中心とした討論の場となり、発足以来50年以上、2500例を超える症例が提示され、平日(水曜日)にも関わらず、毎回700名以上の消化器医師、放射線医師、病理医師にお集まり頂いております。誠にありがとうございます。
本研究会は、エーザイ株式会社、財団法人早期胃癌検診協会(現、公益財団法人早期胃癌検診協会)、株式会社医学書院と一体となり開催、運営してまいりましたが、諸般の社会情勢、製薬メーカーとの関係の透明性を鑑み、研究会に独立性を持たせ、円滑な運営を図ることを目的に、2003年、早期胃癌研究会を新体制のもと運営することとなりました。エーザイ株式会社、財団法人早期胃癌検診協会は、共催社の立場として運営にあたって頂きました。なお、新体制下の初代の運営委員長は、多田正大先生(現:多田消化器クリニック 院長)、二代目は浜田勉先生(現:平戸市国民健康保険度島診療所 内科)、そして2010年4月から小生が三代目として就任いたしました。多田先生、浜田先生、そして発足当時の先生方の後を受け継ぐことは荷の重い大役ではありますが、運営委員の先生方そして皆様のご協力を頂きながら本研究会のさらなる発展に向けて努力したいと考えております。何卒宜しくお願い申し上げます。
現在、本研究会は53名の運営委員の協力を仰ぎ運営しております。運営委員ご司会のもと、毎回、1症例30分(症例紹介・読影・ディスカッション・病理説明・臨床との対比)の5症例(食道・胃・小腸・大腸)、そして臨床医が知っておくべき診断の基礎知識として運営委員講演による「画像診断教育レクチャー」で構成しております。「画像診断教育レクチャー」は、2012年10月からは「消化管疾患:診断と鑑別の進め方」のテーマを取り上げております。3時間の長丁場ではございますが、是非、多くの先生方に本研究会にご参加、そして会場での活発な討論に加わっていただければ幸いです。運営委員一同、発足当時の熱き想いを忘れることなく、明日からの臨床に直結する診断ならびに治療を継続して提示、討論していきたいと存じます。引き続き、ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
また、本研究会では検討症例を募集しております。画像のきれいな症例で、「比較的稀な症例、鑑別が困難な症例」「典型的だが読影の勉強になる症例」「診断がよくわからない症例」がありましたら奮ってご応募ください。
2013年4月
斉藤 裕輔