開催記録

開催記録一覧へ

「第23回臨床消化器病研究会」

日時

2023年7月15日(土)8:45 〜 15:50

参加費 1,000円
プログラム プログラム

消化管の部

「主題1 炎症性腸疾患(IBD)」

テーマ:症例から学ぶ炎症性腸疾患(Season6)〜今こそもう一度腸結核を考える〜
司会:
渡辺 憲治(富山大学 炎症性腸疾患内科/IBDセンター)
穂苅 量太(防衛医科大学校 内科学(消化器))
病理コメンテーター:
二村 聡(福岡大学筑紫病院 病理部・病理診断科)
 【基調講演】

「腸結核の内視鏡診断と確定診断」

大阪市立十三市民病院 消化器内科/淀川キリスト教病院 消化器内科 大川 清孝

 症例検討【症例提示】

1)岩手医科大学医学部 内科学講座 消化器内科分野 梁井 俊一

2)大阪公立大学大学院医学研究科 消化器内科学/総合医学教育学 鎌田 紀子

 【コメンテーター】

札幌医科大学医学部 消化器内科学講座 仲瀬 裕志

杏林大学医学部 消化器内科学 久松 理一

主題のねらい

近年、炎症性腸疾患の分野では毎年のように免疫修飾的作用を有する新規薬剤が保険承認され、臨床現場では、様々な治療が比較的実施し易い状況になっている。一方、診療の根本となる診断や薬物療法による有害事象、合併症を学ぶ機会は減少してきている危惧がある。腸結核は今なお亡失することができない「古くて新しい課題」である。本セッションでは、advanced therapy全盛の今こそ、改めて多様な病像を呈する腸結核について鑑別診断を含めて学び直し、日々の炎症性腸疾患診療の礎として参りたい。特に経験の少ない若手の先生方の御参加を期待している。

主題2 「消化管癌(形態学)上部消化管」

テーマ:感染性・炎症性胃疾患(ヘリコバクター感染を除く)
司会:
後藤田 卓志(日本大学医学部 内科学系消化器肝臓内科学分野)
八尾 建史(福岡大学筑紫病院 内視鏡診療部)
病理コメンテーター:
八尾 隆史(順天堂大学大学院医学研究科 人体病理病態学)
 症例検討【症例提示】

1)北里大学医学部 消化器内科学 別當 朋広

2)国際医療福祉大学市川病院 消化器内科 石橋 史明

3)東京女子医科大学 消化器内視鏡科 岸野 真衣子

 【基調講演】

「 感染性・炎症性胃疾患(ヘリコバクター感染を除く) 」

松山赤十字病院 胃腸センター 蔵原 晃一

主題のねらい

消化管は内なる外であり、器質的疾患は癌以外にも多彩である。特に胃は、最初に細菌や薬剤など異物が流入し一時的に貯留するため粘膜障害が起こりやすい。さらにその状態がpHレベルによっても左右される。その結果、感染性・炎症性の胃粘膜変化が様々な原因や状態によって惹起され得る。本主題では、ヘリコバクター感染以外の胃疾患(蜂窩織炎、サイトメガロウイルス、結核、好酸球性胃炎などのアレルギー、GVHD、腐蝕性、薬剤性、IBD関連、Collagenous gastritisなど)に焦点を当て、これらの様々な疾患について多彩な画像所見や病理所見を見直すことを主眼においた。一度見れば忘れない所見もある一方で、何度遭遇しても迷う症例もある。胃癌との鑑別のみならず、適切で正しい治療を迅速に行うためにも、この主題においてヘリコバクター感染以外の胃疾患についてレビューしたい。

主題3 「機能」

テーマ:便通異常症診療ガイドライン2023を踏まえた慢性便秘症および慢性下痢症診療のポイント
司会:
中島 淳(横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室)
演者:
伊原 栄吉(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学(第三内科)
主題のねらい

便通異常は日常診療において遭遇することが多いと考えられる。便秘においては2017年にガイドラインが発刊され、その後新しい薬剤の発売も伴い診療に関する環境は大きく変わってきた。また、下痢についてはこれまで本邦における診療ガイドラインはなく、医師の経験に基づき診療がなされているのが現状である。このような状況を踏まえ現在、便通異常に関するガイドラインの作成が進められている。本セッションでは便秘と下痢に関する定義・診断・治療など臨床に役立つ話題を紹介していただく。

主題4 「消化管癌(形態学)下部消化管」

テーマ:直腸・肛門病変の鑑別診断
司会:
山野 泰穂(札幌医科大学医学部 消化器内科学講座)
大宮 直木(藤田医科大学医学部 先端光学診療学講座)
病理コメンテーター:
九嶋 亮治(滋賀医科大学 病理学講座)
 【基調講演】

「外科からみた肛門管の解剖と直腸・肛門病変の鑑別診断」

帝京大学医学部 外科学講座 松田 圭二

 症例検討【症例提示】

1)京都府立医科大学 消化器内科 吉田 直久

2)岐阜県総合医療センター 消化器内科 増田 直也

3)秋田赤十字病院 消化器病センター 加藤 文一朗

4)藤田医科大学岡崎医療センター 消化器内科 大森 崇史

 【読影者】

がん研有明病院 下部消化管内科 斎藤 彰一

京都府立医科大学 消化器内科 吉田 直久

北摂総合病院 消化器内科 佐野 村誠

岐阜県総合医療センター 消化器内科 山崎 健路

主題のねらい

直腸肛門部は狭い範囲でありながら、排便機能を有するなどの解剖学的特性に加え、重層扁平上皮や円柱上皮など多彩な組織像を有することから、他の大腸領域と比べて疾患発生の上で特異な場を形成している。頻度の多い痔疾に加え、種々の腫瘍、炎症性腸疾患、口側からの脱出性病変、性行為感染症を含めた感染性疾患、薬剤起因性疾患などがある。診断は指診、肛門鏡、内視鏡等でなされるが、直腸内反転観察をしないと内視鏡では盲点が多い。外科・肛門科にはなじみのある領域であるが、得手でない消化器内科医も少なからずいるのではないかと推測される。そこで、本セッションでは基調講演と症例検討を通じて、直腸・肛門病変の鑑別診断を学ぶ場にしたいと考える。多くの症例応募を期待する。

肝胆膵の部

主題1 肝:「肝のリンパ増殖性疾患」

司会:
南 康範(近畿大学医学部 消化器内科)
海野 倫明(東北大学大学院医学系研究科 消化器外科学分野)
病理コメンテーター:
相島 慎一(九州大学大学院 構造病態病理学分野)
画像コメンテーター:
吉満 研吾(福岡大学医学部 放射線医学教室)
 【基調講演】

「肝のリンパ増殖性疾患」

久留米大学医学部 病理学講座 三好 寛明

 症例検討

1)肝悪性リンパ腫の腹部超音波・造影超音波検査所見の特徴
   愛媛県立中央病院 消化器病センター 内科 多田 藤政

2)肝ホジキン病の1例
   福岡大学医学部 放射線医学教室 佐藤 圭亮

3)肝・副腎・リンパ節・骨転移を伴う原発性肺癌が疑われた
 「他の医原性免疫不全関連リンパ増殖性疾患(OIIA-LPD)」の1例
   前原総合医療病院 内科 橋口 正史

4)特徴的な腫瘍および腫瘍周囲濃染を呈した肝reactive lymphoid
 hyperplasiaの1切除例
   金沢大学附属病院 放射線科 長内 博仁

5)肝reactive lymphoid hyperplasiaの7症例
 ー長期自然経過を含めた報告ー
   神戸市立医療センター中央市民病院 消化器内科 鄭 浩柄

主題のねらい

肝臓のリンパ増殖性疾患は稀ではあるが、画像検査の進歩から遭遇する機会が増えている。これらは濃染を呈することが多いために肝細胞癌など多血性肝腫瘍との鑑別が議論の的になるが、肝リンパ増殖性疾患には肝悪性リンパ腫、肝MALTリンパ腫、Reactive lymphoid hyperplasia(RLH)と言った様々な悪性度の病態が含まれるために鑑別診断がより重要である。本セッションでは基調講演と症例検討を通じて、病態の理解と手がかりとなる鑑別ポイントを深堀りしたい。

主題2 胆:「IPNBの診断と治療」

司会:
菅野 敦(自治医科大学 消化器肝臓内科)
大塚 隆生(鹿児島大学医学部 消化器・乳腺甲状腺外科)
病理コメンテーター:
福嶋 敬宜(自治医科大学附属病院 病理診断科)
画像コメンテーター:
伊東 克能(山口大学大学院医学系研究科 放射線医学講座)
 基調講演

「胆管内腫瘍の分類と臨床病理学的特徴」

自治医科大学附属病院 病理診断科 福嶋 敬宜

 症例検討

1)先天性胆道拡張症の術後長期経過中に遺残膵内胆管に発生した
 胆管内乳頭状腫瘍の1切除例
   仙台市医療センター仙台オープン病院 消化管・肝胆膵内科
   住谷 秀仁

2)異時性、異所性にIPNBを呈した1例
   北海道大学病院 消化器内科 杉浦 諒

3)進展範囲診断に苦慮したIPNBの1例
   名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 植月 康太

4)術前範囲診断に苦慮したIPNB type2の1例
   自治医科大学 消化器肝臓内科 横山 健介

5)肝門部領域胆管の浸潤性胆管内乳頭状腫瘍術後4年半で発生した
 十二指腸乳頭部癌の1症例
   九州大学 臨床・腫瘍外科 荒木 大幸

主題のねらい

胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のカウンターパートと考えられ、多彩な臨床像を呈する。病理学的にIPMNに類似した症例をType1、いわゆる乳頭状腺癌と報告された症例をType2とする新分類が報告され、各々の臨床像も明らかにされてきた。しかし、臨床の現場では、いまだに診断や治療について迷う症例も少なくない。IPNBの自然史やその初期像も明らかにされておらず、進展度診断に関して、胆道鏡やIDUS、mapping生検の意義も不明である。非切除例に対して症例毎に対応しているのが現状であり、粘液による胆道ドレナージ困難例に対する対応や、有用な化学療法も明確にされていない。本セッションでは、IPNBをテーマに症例を募集する。IPNBの診断や治療に難渋した示唆に富む興味深い症例の応募を期待する。

主題3 膵:「鑑別診断困難な膵嚢胞性病変 」

司会:
入澤 篤志(獨協医科大学医学部 内科学(消化器)講座)
清水 泰博(愛知県がんセンター 消化器外科)
病理コメンテーター:
古川 徹(東北大学大学院医学系研究科 病態病理学分野)
画像コメンテーター:
廣橋 伸治(大阪暁明館病院 放射線科)
 基調講演

「鑑別診断困難な膵嚢胞性病変」

手稲渓仁会病院 消化器病センター 潟沼 朗生

 症例検討

1)濾胞性膵炎の1例
   東京医科大学 消化器内科 南 裕人

2)内部に嚢胞構造を伴い、膵外へ突出する限局性腫瘤を呈した
 血清IgG4陰性自己免疫性膵炎の1切除例
   手仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化管・肝胆膵内科
   細川 健斗

3)術前診断に苦慮した多房性嚢胞性病変の1例
   愛知県がんセンター 消化器内科 奥野 のぞみ

4)IPMCや微小膵癌との鑑別に難渋した出血性Serous neoplasm (Macrocystic type)の1例
   名古屋大学医学部附属病院 消化器内科 山雄 健太郎

5)感染を合併した嚢胞性膵腫瘍の1例
   伊達赤十字病院 消化器科 久居 弘幸

主題のねらい

膵嚢胞性病変は腫瘍性嚢胞、充実性腫瘍の嚢胞変性、非腫瘍性嚢胞に大別される。腫瘍性としては、漿液性嚢胞性腫瘍(SCN)、粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)など、充実性腫瘍の嚢胞変性としては、神経内分泌腫瘍(NET)、solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)など、また非腫瘍性としては、仮性嚢胞、類(表)皮嚢胞、リンパ上皮嚢胞などが挙げられる。診断は、病変の占居部位、数、形態、内部性状や構造、膵管との交通の有無などを、腹部US、EUS、CT、MRI、ERCPなどの画像検査で評価し、必要な場合には膵液や嚢胞液の細胞診検査を追加して鑑別をおこなう。悪性を疑う腫瘍性嚢胞と充実性腫瘍の嚢胞変性を考える場合は外科治療を考えなくてはならない。しかしながら、診断困難例も少なからず存在し、治療方針立案に難渋することもある。本セッションでは、鑑別診断が困難であった膵嚢胞性病変を御呈示頂き、その診断方法や画像所見等について討論したい。多くの演題応募を期待する。