第11回臨床消化器病研究会は、お蔭様をもちまして、無事盛会のうちに終了致しました。全国より多くの先生方にご参加頂きまして、誠にありがとうございました。
日時 | 2010年7月31日(土)8:45〜15:50 |
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場所 | グランドプリンスホテル新高輪 国際館「パミール」 3階「北辰・崑崙」
〒108-8612 東京都港区高輪3-13-1 TEL:03-3442-1111 FAX:03-3444-1234 |
会 場 費 | 3,000円 |
プログラム | プログラム |
プログラム
上部消化管内視鏡検査において、食道・胃・十二指腸の観察および内視鏡診断は周知の通りであるが、その入り口である中・下咽頭領域あるいは喉頭領域においても、同様に表在癌が拾い上げられるようになってきた。今回は、消化器内視鏡医が知っておくべき、中・下咽頭、喉頭領域の表在癌の内視鏡所見について学びたい。とくに通常観察所見、NBI 拡大内視鏡診断について掘り下げて検討したい。治療は、耳鼻科および頭頚科、呼吸器科と連携しておこなうとしても、拾い上げを消化器内視鏡医が行えれば患者利益は大きい。この企画が、咽頭・喉頭領域の表在癌の拾い上げと咽頭・喉頭癌の予後向上の一助になれば幸いである。
近年、Image Enhanced Endoscopy(IEE)や拡大内視鏡の進歩がめざましく、胃病変の診断能向上に貢献していると考えられる。そこで、今回の臨床消化器病研究会では胃病変の中で最も頻度の高い陥凹性病変の鑑別診断を主題に取り上げ、IEEや拡大内視鏡の有用性と限界を検討することにした。
内視鏡診断の基本はあくまでも白色光による通常観察であり、通常観察で胃病変を発見する事ができなければ、IEEや拡大観察を行う事はできない。本主題では白色光による通常内視鏡像を重視し、まずは通常内視鏡所見から陥凹性病変の鑑別診断を行う。さらにインジゴカルミンや酢酸、AIMなどを併用したる画像に基づいて診断を深化させたのち、最後にIEEを併用した拡大内視鏡像を検討する。この課程で、X線検査を含めた各診断法の特徴と限界を明らかにし、胃陥凹性病変に対する最先端の鑑別診断に迫りたい。
本邦における潰瘍性大腸炎とクローン病の有病率は増加の一途を示している。これらの疾患は慢性・難治性に経過し、消化器専門医の診療においても大きなウェイトを占めている。しかしながら、臨床の場では他の大腸炎症性疾患に遭遇することが多いのも事実であり、鑑別は患者管理や治療の点から極めて重要といえる。その際、臨床経過、X 線・内視鏡所見を判定する能力と、生検所見の情報を加味した正確な診断が要求される。なかでも、消化器専門医が粘膜傷害の形態や部位などの特徴を迅速に判定することは必要不可欠である。そこで、本セッションでは大腸炎症性疾患として、感染性、薬剤性、虚血性大腸炎などの症例呈示を頂き、X 線・内視鏡所見の分析におけるポイントを検討したい。さらに、臨床像からみた鑑別疾患、および生検組織における病理所見判定のコツをこの領域の熟達医よりご教示いただき、腸疾患の診療に有用なセッションとしたい。
肝嚢胞性腫瘤の大多数は単純性嚢胞である。単純性嚢胞は壁が薄く均一であり、嚢胞内容が漿液性であるが、そのいずれかが満たされない場合、腫瘍性嚢胞を除外する必要が生じる。胆管との連続性があり、腫瘍であれば胆管IPMN(胆管内乳頭粘液性腫瘍)をまず疑う。連続性がない場合には、前腸性嚢胞、出血性嚢胞や肝MCN(粘液性嚢胞腫瘍)などが鑑別に挙がる。肝MCN は従来、胆管嚢胞腺腫(癌)として記載されている疾患であるが、内部に粘液を貯溜しており、膵のMCN との類似性が指摘されている。
肝MCN のうち腺腫では膵MCN と同様,高率に卵巣様間質を伴うとされているが、腺癌ではこの頻度は低いようである。また稀に胆管との交通がある症例もあり、胆管IPMN と類似の所見を呈し、両者の鑑別が問題となる。本研究会では、胆管IPMN を除外した肝MCNの症例を広く募集し、本疾患の臨床・画像・病理を検討したい。
膵胆管合流異常症(以下合流異常)は胆道癌の危険群とされており、特に胆管が拡張していない症例では、胆嚢癌を高頻度に発生することが報告されている。合流異常の胆嚢上皮は、幼少時から過形成がみられ、年齢とともに高頻度となり、異形成を経て発癌に至る経路が推測されており、臨床的には超音波画像で胆嚢壁内側低エコ−の肥厚像として反映されることが多い。一方、合流異常では胆嚢腺筋腫症、胆嚢炎の発生もみられ、その病像は多彩である。今回のセッションでは、術前胆嚢癌の存在が診断可能であった症例、癌との鑑別に苦慮した症例、経過観察により画像に変化がみられた症例等の検討を通じて、合流異常に合併する胆嚢病変の画像と病理の比較を行いたい。多数の応募を期待する。
腫瘍径2cm 以下の膵癌がTS1 として扱われているが、2cm の大きさでは組織学的に進行癌であることは明らかにされている。また、1cm 以下の膵癌の予後が良いことも判明している。したがって良い予後が期待できる膵癌とは多くは1cm 以下、あるいは上皮内癌である。このような膵癌の診断過程や病理学的特徴を明らかにすることが膵癌の予後向上につながる。上皮内癌はERCP と膵液細胞診により診断されることが多いが、診断のきっかけとなる手掛かりが必要であり、病理学的には小膵癌(上皮内癌)の進展形式や背景の組織像を知ることが重要である。きっかけとなる臨床検査と画像、および進展度診断が可能な画像(ERCP やEUS)と詳細な病理学的検討がなされた症例を期待する。