膵Perfusion CTとは

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6.Perfusion CT画像の実際

1.Perfusion CT画像の見方と評価方法

Perfusion画像を評価する際は、必ず元画像(図7A)と比較し評価する。Perfusion画像(下記)Bだけでは、血流低下しているのか、そもそもそこに実質がないのか、判別できないからである。こういった制約は、fusion技術が応用されれば解決されることなので、各社の今後に期待したい。

得られたPerfusion値は、画像左側に設定されたScale Barに従ってGradingされ、表示される(図7B)。Scale Barは、血流が豊富な場合を暖色、血流が低下している場合を寒色として、表記されることが多く、各社この方向で統一していただきたい。さて、我々が示した画像では、表示範囲は0 ~ 60 ml/100g/minであるが、この表示範囲は任意で変えることができ、各社によって若干の違いが存在することに注意すべきである。以上から、第一回膵Perfusion画像研究会にて対馬先生からご指摘をいただいたように、Perfusion画像のプレゼンテーションに際しては、Scale BarとそのRangeを明示することが望ましい。こういった各社の違いは、アルゴリズムの違いなどと相まって、若干、状況を複雑にしている。そこで、Perfusion画像の提示に際しては、対象部位のTDCも一緒に提示することを提案する。そうすれば、TDCは、各機器の違いやアルゴリズムの違いからは自由だからである。再三述べているが、こういった各企業間の違いは最小限であった方がよく、今後の検討課題の一つである。

実際の健常成人のPerfusion画像(図7B)を提示し、わかりやすくするために白黒にし、注意すべき点等を書き込んだ(図7C)ので、比較していただきたい。

図7 健常成人のPerfusion CTとその見方

図7
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2.ROIの設定

Perfusion CTの特徴の一つとして、実測が可能な点が挙げられる。得られた値が、定量的か、半定量的かという議論は置いて、実測できるということは大変魅力的である。しかし、ここで大きな、未解決の問題がある。関心領域(Region of Interest;ROI)をどのように設定するか、である。ROIの置き方によって実測値は変化するので、再現性の高い共通のROIの設定の仕方が求められる。現時点では、ROIを設定する際は、「可能な限り大きく、血管を含まないようにする」という方法がよく用いられているようだが、いまだ定まったものはなく、今後の課題である。