「第24回臨床消化器病研究会」肝胆膵の部では、各主題で検討する症例を公募いたします。
「主題のねらい」に即した症例があれば、「症例申込表」・「画像・病理データ」をCDに保存の上、事務局宛にお送りください。
※本研究会では、各セッションの模様をDVDに収録し、研究会終了後に希望者に貸出します。
応募にあたっては、予めご承知おきください。
2024年5月28日(金)(必着)
臨床消化器病研究会(肝胆膵)事務局
東京医科大学 消化器内科 医局宛
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1
TEL:03-3342-7769(医局専用) FAX:03-5381-6654
email:o.zen.3e@tokyo-med.ac.jp
※「臨床消化器病研究会 症例申込表」を使用し、以下の項目を必ずご記入願います。
※パワーポイントで作成
し、以下の画像・病理データをご提出願います。※病理標本現物(プレパラート)は、送付しないでください。
肝炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor:IPT)は, 病理組織学的にfibrohistiocytic typeとlymphoplasmacytic typeに分類される. 前者は炎症性胆管像を示し, 感染や炎症などによる胆管炎を来した後の修復機序によって形成される. 一方, 後者は硬化性胆管炎像を示し, IgG4関連疾患の一つとして自己免疫機序が原因と考えられている.fibrohistiocytic typeは肝の辺縁に腫瘤を形成することが多く, lymphoplasmacytic typeは肝門部で胆管に浸潤し,肝胆道系酵素の上昇で発見されることが多い. また病理組織学的に肝IPTの類似疾患として, 悪性腫瘍としてのリスクを伴う炎症性線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumors:IMT)やEpstein-Barr virus関連炎症性偽腫瘍様濾胞樹状細胞性腫瘍などがある. 肝IPTは, 肝細胞癌, 肝内胆管癌, 転移性肝腫瘍などの悪性疾患や肝膿瘍などとの鑑別が必要であるが, 特徴的な画像所見に乏しく, 困難なことが多い. そこで,本セッションでは各種の画像検査と生検病理標本によって診断された, あるいは診断が困難で切除されたIPT症例を呈示して頂き, 他疾患との鑑別の手がかりとなる画像や病理所見を共有したい。
十二指腸乳頭部腫瘍、とくに十二指腸乳頭部癌に対する標準的治療は膵頭十二指腸切除術(pancreatoduodenectomy;PD)である。しかし、PDは侵襲が大きいことから、乳頭部腺腫や腺腫内癌に対し、縮小手術として外科的な経十二指腸的乳頭部切除術や内視鏡的乳頭切除術(endoscopic papillectomy;EP)といった乳頭部局所切除術が試みられている。
EPは1983年に本邦から報告され、2021年には日本消化器内視鏡学会から診療ガイドラインが示されている。診断に関しては内視鏡機器やEUSの改良による診断能向上、治療に関しても止血用のクリップや局所止血剤の登場による、偶発症率の低減が期待されている。しかし、なかには質的診断や進展度診断が困難な症例にも遭遇する。また内視鏡的な切除が困難な症例は外科的切除を選択すべきか、腺腫内癌の取り扱いなど議論も多い。腫瘍違残や再発例に対するマネージメントも必要である。本セッションでは、乳頭部腫瘍の診断・治療についての知識をupdateし、今後の課題について明確とする症例の提示をお願いしたい。
慢性膵炎やIPMN、糖尿病患者の膵癌高危険群の経過観察中の累積膵癌発症率は経年的に上昇していくため、耐術能がある限り長期の経過観察が勧められる。また膵癌やIPMN切除後長期生存者の残膵にも、異時性多中心性の膵癌が発症することがあり、各種ガイドラインでも長期にわたる術後残膵の経過観察が推奨されている。一方、適切な経過観察法は確立されておらず、定期的な経過観察にも関わらず切除不能膵癌で診断されることもしばしばある。また診断前から微小な画像変化が出ているにも関わらず見逃されて、進行癌で診断されることもある。本セッションでは示唆に富む長期経過観察中に発生した膵癌の画像を振り返り、その特徴や至適画像診断法、経過観察法について討議していただきたい。