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「第5回膵Perfusion CT画像研究会」一般演題5

5.膵癌周囲組織におけるperfusionと予後との関連の検討

京都大学 消化器内科

西川 義浩、辻 喜久、児玉 裕三、千葉 勉

背景

これまでに膵癌のperfusionと治療反応性との関連を示す報告がなされている。一方、癌の周囲組織の血流/血管への影響に関する報告があり、疾患活動性と関連がある可能性が考えられる。

目的

膵癌組織および膵癌周囲組織におけるperfusionと膵癌患者の予後との関連を検討する。

方法

対象は2008年12月から2011年2月まで当院にて組織学的に腺癌と診断した切除不能進行膵癌の17例。Perfusion CTにより評価した後に、gemcitabineによる治療を開始した。使用機器は64列MDCT (TOSHIBA Aquillion 64)。撮影は、造影剤 (Iomeprol 350mg/ml)を4ml/secで10秒間静脈注入し、54秒間同一部位で自然呼吸下に行った。解析はZiosoftを用い、single-compartment modelにて行った。Time density curveからarea under the curve (AUC), blood flow (BF)を、腫瘍 (AUCT, BFT)および膵癌周囲組織 (AUCPTT, BFPTT)において求めた。膵癌周囲組織は、膵癌の頭側10mmの正常膵と定義した。Perfusion CT撮影日からの生存日数と、AUC, BFとの相関関係を検討した。

結果

AUCPTT, BFPTTと生存日数の間にはそれぞれ有意(p=0.04, 0.0005)に相関関係を認めた。一方でAUCT, BFTと生存日数の間には有意な相関関係を認めなかった。

考察

膵癌周囲組織のperfusionが膵癌の活動性と関連している可能性が考えられた。腫瘍のperfusionと予後との関連は認めなかったが、今回の検討では、AUC, BFのみをperfusionのparameterとして検討しており、その他の項目では相関関係を認める可能性は考えられる。

スライ画像