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「第5回膵Perfusion CT画像研究会」一般演題3

3.Subtraction color map 解析を行った壊死性膵炎の一例

産業医科大学第3内科1)、京都大学消化器内科2)

荻野 学芳1)、田口 雅史1)、山本 光勝1)、辻 喜久2)、原田 大1)

緒言

重症急性膵炎、特に壊死性膵炎は致命率が高い一方で早期に虚血を診断し、膵持続局所動注療法(CRAI)をはじめとした適切な治療にて救命率を高められる可能性が指摘されている。膵Perfusion CTの壊死性膵炎に対する早期診断能は確立されつつあるが、Subtraction color map CTの早期診断に対する有用性の報告がある。今回我々はSubtraction color map CTにより壊死が予測可能であった1症例を経験したため報告する。

症例

軽度の肥満がある68歳男性。飲酒の翌日昼より心窩部痛があり夕方に当院救急受診した。受診時の造影CTで虚血や壊死の所見はなく、厚生労働省の重症度判定基準(新基準)スコアにて0点の軽症であった。しかしこの際のSubtraction color map CTでは膵体部に膵壊死を示唆する所見がみられた。発祥12時間後の造影CTで体部に限局する虚血領域を認め、Perfusion CTを用い壊死であることを確認した。Acute fluid collectionから造影CT grade 2点となり、発症から36時間後にCRAIを開始した。以後、多臓器不全や後期の感染などは起こさず良好に経過し早期退院となった。なお、発症10日目の造影CTでdemarcationを伴った膵壊死領域を確認した。入院時のSubtraction color map CTと12時間後の造影CT、Perfusion CT、10日後の造影CTを比較すると、その壊死領域は一致した。

考察

Subtraction color map CTも、壊死性膵炎の早期診断に有用な可能性がある。単純CTと造影CT画像から作成可能な比較的簡便な技術画像であるため、汎用性は高いと考えられる。今後の症例の蓄積検討が待たれる。

発表スライド