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「第5回膵Perfusion CT画像研究会」一般演題2

1.膵Perfusion CTによる重症急性膵炎の治療効果判定と合併症予測

昭和大学 医学部 内科学講座 消化器内科学部門

山宮 知、北村勝哉、石井 優、佐藤 悦基、岩田 朋之、野本 朋宏、吉田 仁

目的

当施設では、2013年5月から急性膵炎における膵虚血の評価として膵Perfusion CTを導入した。膵虚血部位の評価にFv値を測定し、膵Perfusion CTの有用性を検討した。

方法

2013年5月から12月までに膵造影不良域を伴う厚労省急性膵炎重症度判定における予後因子3点以上または造影CT Grade 2以上の重症急性膵炎(SAP)に対して、2経路膵局所動注療法(CRAI)を施行し、CRAI前後(SAP診断時、入院約2週間後)で膵Perfusion CTを施行した7例を対象とした。CRAI前後における膵造影不良域のFv値、合併症、予後などをretrospectiveに検討した。中央(最小~最大)値表記。

成績

膵Perfusion CT施行7例の年齢は、45(26~70)歳、男性7例。成因は、アルコール性6、特発性1例。入院48時間以内の厚労省予後因子3(1~6)点、造影CT Grade 1:2:3=0:3:4。CRAI開始時期は、入院1(1~2)病日、施行期間5日。CRAI経路は、腹腔および上腸間膜動脈の2経路。蛋白分解酵素阻害薬としてnafamostat mesilate 240mg/日、抗菌薬としてdoripenem 1.5g/日を使用。 CRAI前の膵虚血部位/非虚血部位Fv値比は、0.20(0.07~0.45)、CRAI後の膵虚血部位/非虚血部位Fv値は、0.28(0.12~0.42)。Acute necrotic collection(ANC)合併率71.4%(5/7)、続発性膵感染症合併率0%、入院期間19(15~24)日。ANC合併5例の膵虚血部位/非虚血部位Fv値比は、非合併2例と比較して、CRAI前(0.20 vs. 0.31)および後(0.31 vs. 0.36)で有意に低値であった(p<0.001)。

結論

SAPに対して、2経路CRAI前後に膵Perfusion CT を施行し、虚血部位を数値化した7例を検討した。膵虚血部位と非虚血部位のFv値比を測定する事で、相対的な虚血の評価が可能であり、CRAIによる治療効果判定と合併症予測ができる可能性が示唆される。今後、症例蓄積により、膵Perfusion CTによるCRAIの適応を検討するとともに、膵虚血改善効果と合併症や予後との関連性を検討する。

発表スライド