代表世話人挨拶

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  • 中部脊髄外科ワークショップ
  • 代表世話人 原 政人
  • (愛知医科大学脊椎脊髄センター)

2019年4月より、中部脊髄外科ワークショップの代表世話人となりました。この場をお借りしてご挨拶申し上げます。
中部脊髄外科ワークショップは、中部地区(東海・北陸・長野)において脊椎脊髄および末梢神経を広く扱う神経外科医のための学術集会であり、1988年より毎年2回開催されております。主に症例から学んだ知識を会員と共有できる場となっており、若手医師の学術発表の鍛錬の場にもなっています。

ところで、日本においてはいまだに脊椎脊髄というと整形外科という印象が根強くあります。欧米では脊椎脊髄疾患の多くを‘Neurosurgeon’(神経外科医) が扱っているのとは対照的です。脳神経外科医は本来、‘神経外科医’として活動すべきでしたが、いつの間にか脳しか扱わない‘脳外科医’になってしまい、国民の認識も同様になってしまいました。しかし、一部の脳神経外科医は、神経全般の手術を積極的に行っていたことから、現在の私たちがあるのです。
しびれや痛みは、『神経』が何らかの障害を受けて生じているものです。しかし、それがどこからきているのかを診断するのは容易ではありません。私たちは神経学的検査から、その責任高位(部位)を導き出し、神経放射線学的検査(MRI,レントゲン,CTなど)や電気生理学的検査にて診断を確実なものにしていくという方法で診療にあたっています。脊椎脊髄の病変が原因であれば、脊椎脊髄の手術を行いますが、末梢神経の絞扼が原因になっていることもあります。私たちは、手術でよくすることが出来る『神経疾患』に対しては、積極的に手術をしていく姿勢を常に持っています。
現在、脊椎脊髄疾患で最も多いのが、脊椎変性疾患という‘加齢’によって生じるものです。とりわけ多いのが、『腰部脊柱管狭窄症』で、これは間欠性跛行という症状を呈します。すなわち、歩行することにより下肢の痛みを生じますが、休憩すれば改善し、また歩行が可能になるというものです。人間は痛みを極力避ける習性があり、痛みをきたさないように出歩くことを控えてしまい、健康が損なわれていきます。少しでも健康寿命を延ばすためにも、この疾患を理解していただき、脊椎脊髄の専門施設にかかっていただき、対処されることを強くお勧めします。
手足のしびれ・痛みは『神経』が障害されて生じるものです。神経が専門であるこの地区の脳神経外科にご相談ください。