開催記録

プログラムへ戻る

「第4回膵Perfusion CT画像研究会」一般演題5

5.膵癌の予後予測に対する膵perfusion CTの有用性について

薗 誠、淺田 全範、八隅 秀二郎

北野病院 消化器内科

背景

近年、膵疾患の診断に対して、Perfusion CTが使用され、有用性の報告がなされている。膵腫瘍に対しては幾つかの報告がなされているが、現時点では有用性の評価は定まっていない。

背景と目的

膵癌に対する予後予測因子のひとつとしてCA19-9などのバイオマーカーが有用とされているが、Perfusion CTによる膵癌の予後予測の可能性が近年注目を集めている。そこで、Perfusion CTのPBF(Pancreatic blood flow)値の膵癌予後予測に関する有用性を調べた。

対象

2009年12月~2013年2月の間に当院で初回治療前にPerfusion CTによる解析を行い、かつ病理学的に診断された膵癌症例で、7か月以上の観察期間をもつ30例(切除9 例および非切除21例)。

方法

PBF あるいはCA19-9と生存期間(overall suvival; OS)についての相関関係(Spearman's correlation)と、250日以上生存をOutcomeとした両者のROC解析 (250日以上生存をOutcomeとして)を行った。また局所進行膵癌(StageⅢ+Ⅳa)の2年生存予測をSubgroup解析を用いて行った。

結果と考察

PBF、CA19-9ともに統計学的有意に予後と相関を示し、予後予測には有用であった。PBF=39.3 、CA19-9=4052.2 であった場合、長期生存(8か月以上)が期待された (PBF; 感度60%、特異度100%、CA19-9; 感度68%、特異度80%)。また、PBFの予後予測能はCA19-9による予測能と統計的に有意差がないことが示された。局所浸潤膵癌症例(StageⅢ+Ⅳa)では、2年生存群のPBFは2年以内死亡群と比べ有意に高値であったが、CA19-9では大きな差はあるものの、統計的な有意差を認めなかった。以上より、今後症例数を増やしていけば、膵癌予後予測におけるPerfusion CTの有用性のより厳密な証明が期待できる結果と考えられた。

考察

正常膵、AIP、膵癌の順に有意にPBFの差を認めた事より、Perfusion CTは腫瘍性病変の鑑別に、付加的な情報となる可能性が考えられた。 化学療法を行った症例ではPBFが高いほどOS、PFSが延長する傾向が認められ、治療反応性・予後の推測に利用できる可能性が考えられた。症例数が少なく、症例数の蓄積により、更なる検討が必要である。

スライ画像