三谷 洋介1)、吉田 司1)、熊谷 健1)、辻 喜久2)、渡邊 祐司1)、山本 博1)
倉敷中央病院1)、京都大学医学部附属病院 消化器内科2)
急性膵炎の壊死の早期予測にPerfusion CT(PCT)は有用であることが報告されているが、PCTは主に中枢神経の虚血で研究が始まっておりそれを腹部に応用し膵の血液潅流を様々なアルゴリズムで計算しているが、どのアルゴリズムが最良であるかの結論は出ていない。 今回、急性膵炎の壊死予測にどのアルゴリズムが適しているかを当院のデータで検討し報告する。
2006年1月~2013年6月にかけて当院で急性膵炎に対して施行された58症例、67回のperfusion CTを対象とした。使用機器はTOSHIBAの64列または80列CTで8mm×4sliceまたは10mm×4sliceを作成した。解析にはZIOstation2を用いて、Maximum slope model(MS)、Standard singular value decomposition (S-SVD)、Block-circulant SVD(B-SVD) 、Single compartment model(SC)の4つのアルゴリズムを用いた。それぞれのアルゴリズムでColor Mapを作成し壊死を予測し、3週間以降のCT、もしくはMRIで診断された壊死と予測の一致率を検討した。また、各アルゴリズムのPBF(pancreatic blood flow)を比較し、ROC曲線を用いて各アルゴリズムの診断能を検討した。今回は撮像範囲の影響を除外するために膵体部のみを判定した。
各アルゴリズムで構成したColor Mapで診断能を比較するとMaximum slope 法は感度(78.6%)で劣っていたが、他3法はほぼ同等の結果となり、感度は90%以上、正診率は82%以上であった。 全てのアルゴリズムでPBF値は壊死症例と非壊死症例で有意差がみられ、壊死の予測に有効といえた。また、PBF値を用いてROC曲線を用いて比較をするとBlock circulant-SVD法(AUC:0.873)とSingle compartment 法(AUC:0.895)で高いAUCが求められ、壊死予測能が高いといえると考えられた。
各アルゴリズムは壊死予想に有効であるが、SVD法、Single compartment 法はとくに感度で優れていた。PBF値の比較によりBlock circulant-SVDとSingle compartment 法はとくに壊死予測能が高い可能性が示された。