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「第3回膵Perfusion CT画像研究会」一般演題5

5.「膵癌の化学療法への反応性の予測に対するPerfusion CTの有用性の検討」

北野病院消化器センター 内科

西川義浩、淺田全範、八隅秀二郎

背景

近年、膵疾患の診断に対して、Perfusion CTが使用され、有用性の報告がなされている。膵腫瘍に対しては幾つかの報告がなされているが、現時点では有用性の評価は定まっていない。

検討項目

膵腫瘍性病変において、疾患毎のPBFの差異の検討を行った。 化学療法を行った膵癌患者において、PBFと以下の3項目に関して検討を行った。(1)転帰が判明している、化学療法を行ったStageⅣbの膵癌のPBFと、OS、PFSの関連。(2)現在治療中の患者も含めた、化学療法を行ったStageⅣbの膵癌のPBFと、最大治療効果の関連。(3)腫瘍径とPBFの関連。

方法

使用機器:TOSHIBA Aquillion 64、撮影法:造影剤を4ml/secの速度で10秒間静脈注入し、60秒間同一部位で自然呼吸下に撮影。ソフトウェア:TOSHIBA medical system, Body perfusion system V4.4、解析法:Maximum slope法

対象

対象は2009年12月から2012年3月まで、当院でPerfusion CTによる解析を行った膵腫瘍性病変の27例および腫瘍性病変と鑑別を要した4例。男性:11例、女性:20例、年齢中央値:66歳(51-86)、疾患の内訳は、膵癌26例、AIP(疑い症例を含む)4例、神経内分泌腫瘍(NET):1例。全例病理学的に確定診断を行った。

結果

PBF(ml/min/100g)の平均値は、正常膵:118.7、膵癌:29.8、AIP:77.0、NET:188.0であり、膵癌と正常膵、AIPのPBFの間にはそれぞれ有意差を認めた。(1)PBFが高いほどOSが延長する近似曲線(R2=0.71)、PFSが延長する近似曲線(R2=0.74)が得られた。(2)PBFは、SD:25.1、PD:17.7であった。有意差は認めないが、PBFが高いほど治療が奏功しやすい傾向を認めた。(3)腫瘍径が大きくなるほどPBFが低下する近似曲線は得られるが、R2=0.2354とかなり弱い相関となった。

考察

正常膵、AIP、膵癌の順に有意にPBFの差を認めた事より、Perfusion CTは腫瘍性病変の鑑別に、付加的な情報となる可能性が考えられた。 化学療法を行った症例ではPBFが高いほどOS、PFSが延長する傾向が認められ、治療反応性・予後の推測に利用できる可能性が考えられた。症例数が少なく、症例数の蓄積により、更なる検討が必要である。


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