久留米大学医学部放射線医学教室
久能由記子、内田政史、有川俊二、早渕尚文
膵癌診断時の切除可能例は20%程度であり、多くの切除不能膵がんに対しては化学療法や放射線療法がおこなわれている。今回は切除不能膵癌に対する化学療法・放射線療法の治療効果予測においてperfusion CTの有用性を検討することを目的とする。
対象は治療前にperfusion CTを行い、かつ治療効果判定を目的に治療3ヶ月後にfollow-up dynamic CTを施行した24例(男性15例、女性9例、年齢64±10.6歳)の切除不能膵癌である。腫瘍径15mm未満やfollow-up CTが施行されていない症例は除外した。Perfusion CTは256 slice CT (Brilliance iCT, Philips社製)を用い、80kV, 100mAsの条件で全膵を45秒間の呼吸停止下で1秒毎に撮影する。画像解析にはmaximum slope methodsを用いており、Perfusion, PE, TTP, BVのパラメータを算出した。治療効果はfollow-up CTの腫瘍径にてRECISTを用いて判定し、CR1例、PR9例 (CR+PR=Responder)、SD11例、PD3例 (SD+PD=Non-responder)であった。各パラメータの高値群、低値群において治療効果2群と治療効果4群に対しての関連性についてFisher’s exact testとWilcoxon testを使用して有意差を検討した。
治療効果2群との比較においてはBV高値群においてp=0.009と有意にResponderが多くみられた。Perfusion, PEにおいても高値群でResponderが多い傾向を認めたが、いずれもp=0.4と有意差はなかった。TTPではp=1.0と両者に差は認めなかった。治療効果4群においてもBV低値群において治療効果不良例が有意に多く、PD症例は全て低値群に含まれていた。Perfusion, PEでも低値になるにつれ治療効果が乏しくなる傾向を認めたが、やはり有意差は認めなかった。またTime density curveでは治療効果が乏しくなるにつれグラフの低下を認めた。
膵がんの治療効果とperfusion CT parameterであるBV値に相関性を認めた。今回のようにmaximum slope methodsを使用した際には治療前BV値は治療効果を予測する指標になると考えられる。