国立病院機構仙台医療センター
武田和憲、木村憲治、佐藤明弘、島村弘宗
Philips社製16列MDCTを用いて各種膵疾患の膵血流評価を行った。
対象は健常ボランティア12例、急性膵炎30例、膵癌32例、PNET5例であり、急性膵炎では発症から3日以内を対象とした。
急性膵炎では、perfusion は健常値に比較して有意に低く、浮腫性膵炎と壊死性膵炎の間にも有意の差を認めた。また、急性膵炎全体としてblood volumeとperfusionの間に有意の正の相関を認めた(p<0.001)。膵癌はきわめて乏血性であり、一方PNETは多血性でperfusionは健常値の3倍であった。膵癌もPNETもblood volumeとperfusionの間に有意の正の相関を認めたが、健常成人においてはblood volumeとperfusionの間に相関を認めなかった。
これらのことから、膵疾患では健常膵と異なる血流動態特性を有しており、膵疾患における質的診断、鑑別診断、予後予測等に活用できる可能性がある。