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「第2回膵Perfusion CT画像研究会」一般演題6

6.「重症急性膵炎に対する perfusion CT ~膵外実質臓器評価の有用性~」

1)神戸市立医療センター中央民病院 画像診断・放射線治療科

2)京都大学医部付属病院 放射線診断科

3)Gastroenterology and Hepatology Pancreas Research Group, Mayo Clinic

4)倉敷中央病院 消化器内科

5)京都大学医部付属病院 消化器内科

6)倉敷中央病院 放射線科

子安翔 1)2)、辻喜久 3)4)5)、磯田裕義 2)、渡邊祐司 6)、山本博 4)、千葉勉 5)、富樫かおり 2)

目的

重症急性膵炎(SAP)患者では、膵外実質臓器に合併症を生じ得るが、炎症の波及にともなう肝血流異常や非閉塞性腸管膜虚血(Non occlusive mesenteric ischemia; NOMI)はその重篤なもののひとつである。今回、われわれはretrospectiveにSAP患者における肝血流をperfusion CT を用いて評価し、腸管血流の低下との関連性を検討した。

対象と方法

2005年1月~2008年9月に加療された、発症3日以内のSAP症例 (APACHEII スコア ≥ 6) のうち、perfusion CTを施行された67例を対象とした。ただし、ERCPおよび膵臓癌に起因した膵炎は除外した。また、コントロール群として、健常人4例、肝臓および主要血管病変のない膵腫瘍症例14例の合計18例を設定した。両群において、イオメロン®350 (350 mg I/mL; エーザイ) 40mlを4mL/秒にて投与し、安静呼吸下に64列MDCTを用いて膵臓~肝右葉を含む4レベルを撮像しDICOM Dataを取得した。このDataをDual-input maximum-slope method (Body Perfusion; 東芝メディカルシステムズ)により解析し、肝動脈血流(HAP) および門脈血流 (HPP) を算出し、以下の検討を行った。

検討1.

対象症例とコントロール群のHAPとHPPを比較した。

検討2.

対象の症例のうち、NOMIを疑い血管造影を施行した全患者15例を、実際のNOMIの有無で二群に分け、HAPとHPPを二群間で比較した。

結果

検討1.

SAP群においては、コントロール群と比してHAPは有意に増加(p<0.01)していた。他方HPPに関しては両群で有意差はなかった(p=0.9)。

検討2.

15例のうち、11例がNOMI陽性と診断された。NOMI陽性例では、陰性例と比べ、HAPに有意差を認めなかった(p=0.57)が、HPPは有意に低下(p<0.05)した。また、NOMI陽性群のなかで、門脈血流、動脈血流の両方の低下を認めた症例があり、肝壊死を生じていたことが剖検によって確認された。

結論

SAP症例において、肝臓の動脈血流は有意に増加することが示された。NOMIにおいては、腸管血流の低下が門脈血流低下と有意に関連したので、重症急性膵炎に合併するNOMIの診断において、perfusion CT は有用である可能性が示唆された。

スライド6
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