1)京都大学医学部附属病院放射線部
2)Gastroenterology and Hepatology Pancreas Research Group, Mayo Clinic
3)東芝メディカルシステムズ
小泉幸司 1)、鮫島季美子 1)、板坂有 1)、松田晃 1)、東村享治 1)、辻喜久 2)、森下康之 3)
デジタルファントムを用い、CT画像の画質が膵Perfusion CT解析結果に及ぼす影響を検討する。
使用機器は64列型X線CT装置、32φ水ファントム(ともに東芝メディカル社製)および自作デジタルファントム(1.肝臓、2.脾臓、3.門脈、4.大動脈、5.正常膵臓、および6.異常膵臓、の6か所において、1秒間隔で40秒間dynamicにCT値が変化する)。
水ファントムを異なった撮像条件で撮像し、デジタルファントムに加算し、16種類の異なるPerfusion解析用データセットを作成した(S.D.=72~8)。作成されたデータセットをsingle input maximum slope法を用いて解析、カラーマップを視覚的評価およびROIを設定し、Af :Arterial flowを計測した。
S.D.=72の解析ではカラーマップ上において、異常膵臓(血流低下部位)の形状が崩れ、境界が不明瞭であったが、S.D.=44以下では視覚的な差異は認めなかった。Afは正常膵臓では68.0-61.8、(mean65.8)ml/min/100ml、異常膵臓では37.8-30.2、(mean35.2)ml/min/100mlであった。
今回モーションおよびストリークアーチファクトについては検討していない。Afに関しては画像S.D.が大きい場合にばらつきが認められたが臨床的意義については未検討である。本検討において限られた条件下ではあるがデジタルファントムを用いて、膵Perfusion CT解析における影響を確認した。今後体格に応じた撮像条件を決定する上で指標となるような結果を導くことが出来た。