1)群馬大学医学部附属病院 放射線部、2)群馬大学医学部附属病院 画像診断部
発表者名:武井宏行 1)
共同研究者名:福島康宏 1)、島崎綾子 1)、尾崎大輔 1)、大竹英則 1)、対馬義人 2)
P-CT(CT-Perfusion)において、被ばく低減は必須の事項である。被ばくを低減させるということは画像のノイズ(SD値)が増加することであり、P-CT解析結果への影響を検討する必要がある。今回はSD値、関心領域(ROI)のサイズ、位置、ノイズ低減処理とP-CT解析結果の関係を確認した。
使用機器・ソフトはSIEMENS社製のSOMATOM Definition Flash、VPCT Body、4D Noise Reduction (4DNR)、動脈・腫瘍・正常組織のTime Density Curve(TDC)を得るための寒天と造影剤を用いた自作ファントムを使用した。撮影条件は80kV、30秒連続、Time increment 0.2秒、スライス厚5mm、Kernel B30、10~250mAsを変化させ、Blood Flow (BF)、Blood Volume (BV)、Permeability(PMB)について検討した。
(スライド参照)SD値が20未満ならば各ROIサイズ(3cmφ~最少5pixel)において各解析結果への影響はなかった。ROI位置の影響も同様の結果となった。元画像のSD値が40未満ならば4DNRを使用しても、解析結果への影響はなかった。
今回使用したファントムは組織が均一なため、ROIサイズや位置が解析結果に影響しなかったと思われる。今後は実際の臓器におけるROIサイズや位置の影響を検討する必要がある。また4DNRを使用する前後で、解析結果に影響がなかった。これにより計算上、被ばくを0.25倍に低下させられるため、4DNRは必須である。
P-CTの被ばくを低減させる方法として撮影回数を減らす、1回撮影あたりの放射線量を減らすことが考えられる。しかし解析アルゴリズムによりサンプリング回数は制限され、解析対象の大きさ(体重、組織サイズ)により必要な放射線量の下限値は決定される。また、頭部P-CTでは80kVの設定は被ばく低減に有効であったが、成人腹部では表面吸収線量が内部吸収線量の約2倍になり、皮膚面での最大吸収線量が問題になると思われる。適正な管電圧とSD値を各々のシステムで検討することが重要である。
当院のシステムに於いて、解析時のSD値は最低20以下が必要であった。また4DNRを使用することで、ルーチン撮影の0.07倍程度の設定条件でP-CT解析が可能と考えられる。