1)近畿大学医部 放射線医学講座診断部門、2)GEヘルスケア・ジャパン、
3)近畿大学医部 消化器内科、4)近畿大学医部 外科
岡田真広 1)、香川祐毅 1)、兵頭朋子 1)、熊野正士 1)、工藤正幸 2)、北野雅之 3)、工藤正俊 3)、竹山宜典 4)、村上卓道 1)
膵Perfusion CT検査における膵実質のPerfusion parametersを検討する。我々の結果とMilesらの論文の結果との比較を行う。
64列MDCT(LightSpeed VCT VISION, GE Healthcare)を用いて、膵CT perfusion検査を施行した。27人の患者は膵腫瘍精査目的で膵CT perfusion検査を施行したが、今回の検討では正常と思われる領域を測定した。ヨード造影剤を体重(kg) × 0.5 mL の量で、4 ml/secの投与速度で注入した。Perfusion CT撮像は40 secの息止め(酸素吸入下)で施行した。使用したソフトはCT Perfusion 4(GE Healthcare)であり、deconvolution methodによりPerfusionデータを解析した。Perfusion CTのパラメータとしてTissue Blood Flow (TBF), Tissue Blood Volume (TBV), Mean Transit Time (MTT), Permeability Surface area (PS) が得られた。
今回の検討で得られた膵 perfusionデータは、TBF; 115±32 ml/min/100 g, TBV; 22±20ml/100 g, MTT; 15±12sec, PS; 42±20 ml/min/100 gであった。
Milesらの論文によると、TBFは1min 1 mL あたり1.25-1.66mLが正常膵のPerfusionと記載され、100gあたりでは125-166mLとすれば、我々の検討で得られた115±32 ml/min/100 gよりも高い結果となっている。彼らのPerfusion CTの計算手法は、最大傾斜法であること(我々は逆積分法)、彼らのPerfusion CTではデータサンプリングの間隔が長い(真の動脈のTime-density curveのピークを捕らえていない可能性がある)、最大傾斜法を用いているので動脈のみの観察である、スライス厚が10mmである(計測の際にPartial Volumeの影響で膵動脈のみをとらえることができていない可能性がある)ということが挙げられる。しかしこれらは逆積分法に比べTBFを低くする要素のように思われ、膵実質のTBFは年齢をはじめとした個人差が大きいと思われる(我々の症例は65±10歳)。またTsushimaらの論文によると、正常膵のTBFは; 55.4-169.8ml/100 mL/minと幅広い値を示している。Milesらの結果、我々の検討結果も同様に膵実質のTBFの個人差は大きいことが示され、膵CT perfusionのparameterを検討する場合、年齢をはじめとした個体差に注意する必要があり、各個人の病変と病変以外の比較、同一個人での経時的比較が大切であると考えられる。
膵Perfusion検査における膵実質のパラメータを検討した。Milesらの論文のTBFデータと我々のデータは異なるため、今後は統一したPerfusion CTデータ取得方法での比較が重要であると考える。