近畿大学医学部放射線医学教室 放射線診断学部門 村上卓道先生
画像による肝臓の機能診断には、Perfusion CT による肝組織血流の評価やGd-EOB-DTPA造影MRIによる肝細胞機能の評価などがある。
Perfusion CTはヨード系造影剤を経静脈性に投与し、造影剤による肝実質の時間-濃度曲線(TDC)情報から血流解析を行なう方法で、Fickの原理を用いた最大傾斜法やFickの原理を用いない逆積分法(デコンボリューション法)がある。最大傾斜法は造影剤を秒速8ml以上で静注しなければならず、また、静脈還流の早い膵臓などの臓器ではデータが過小評価される欠点がある。デコンボリューション法は、静脈還流の速さの影響を受けないが、膵臓のperfusionにおける精度はやはり今後の評価が必要である。
デコンボリューション法では肝実質の血流速度TBF:Tissue Blood Flow (ml/min/100g)、肝実質に貯留されている血液量TBV : Tissue Blood Volume (ml/100g)、血流が肝実質の毛細血管を通過するのにかかる時間MTT : Mean Transit Time (sec)、それと肝臓で重要な動脈、門脈血流の割合を分けるためのHAF : Hepatic Artery Fraction (%)が計算できる。慢性肝機能低下群では、門脈圧亢進に伴い、門脈血流が低下し動脈血流が増えるとされているが、TBVの低下とHAFの増加として定量的に評価できる。
Gd-EOB-DTPAはOATP1B3やMRP2などのトランスポーターの関与で、肝細胞に取り込まれて胆汁中に排泄されるMR造影剤であり、取り込まれた肝細胞のT1値を短縮する。Gd-EOB-DTPAによる肝細胞の濃染程度、最大濃染までの時間、造影剤のwashoutの速度が、薬剤性肝炎、reperfusion injury、NASHなどのラットモデルでの実験で、肝障害の程度の影響を受けることがわかった。臨床では、肝実質のT1値の経時的変化をT1 mapping法で直接計測する方法により、区域肝機能が評価できた。
Perfusion CTやGd-EOB-DTPA造影MRIによる部分肝機能評価は、日常臨床の中で行なえる非常に簡便で安価な方法であり、今後の発展が望める。