神戸大学大学院医学研究科 内科系講座 放射線医学分野 特命講師 吉川 武先生
Perfusion CTによる血流測定は、装置の高い普及度、低侵襲性、比較的高い定量性、低コストなどの利点を持つ。頭部では虚血性病変に対する有用性が確認され、標準化も進んでいる。腹部領域でも肝機能評価、肝腫瘍の検出・診断、急性膵炎の予後予測などで有用性が示唆されている。しかし、1)狭い頭尾方向の測定範囲、2)造影ダイナミック撮像との両立、3)長い呼吸停止、4)肝動門脈血流の分離、5)心機能の解析結果への影響、6)撮像法・造影法・解析法の標準化、7)X線被曝など多く問題が解決されていない。
一方、320列CTにより腹部においても頭尾方向に広範囲の連続撮影が可能となる。臨床応用としてWide Volume Scanを含むダイナミック撮像の他、Perfusion CT、Cine CT、Cine CT Angiographyなどが挙げられる。Perfusion CTにおいてはCT寝台が停止した状態で頭尾方向広範囲の連続撮影が可能であり、各スライスの時相が完全に一致するため広範囲かつ正確な造影・血流データの収集が期待できる。
本講演では、最近の上腹部領域でのPerfusion CTに関する報告をreviewし、当院での320列CT を用いた腹部Perfusion CTの初期検討結果を紹介した。肝腫瘍および門脈圧亢進症を主として症例提示を行った。これらより現状における有用性と問題点を指摘した。また、320列CTにおける微細血管描出能の検討結果およびCine CT、Cine CT Angiographyの初期経験について述べた。さらに、造影プロトコールの最適化の検討結果、肝血流量測定における各解析ソフトウエア間の比較結果を報告した。画像辺縁における更なる撮影範囲の拡大や160列ヘリカル撮像など最近の320列CT装置の進歩を紹介し、腹部における展望と可能性について述べた。