藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器内科
鳥井淑敬、芳野純治、乾和郎、若林貴夫、三好広尚、小林隆、服部昌志、服部信幸、小坂俊仁、友松雄一郎、山本智支 、成田賢生、森智子、放射線科:三川雅人
膵癌におけるPerfusion CTの有用性につき、検討した。
対象は膵癌4例(切除1例、非切除3例)。 解析にはMaximum slope法を用いた。
各症例ごとに、CTにより得られたtime-density curveおよび、color mapを作成した。作成に当たっては、膵腫瘍、腹部大動脈、腫瘍認めない膵実実質に関心領域を設定した。また、各症例ごとに、Perfusion,peakenhancement itensity(PEI),Blood volume(BV),を測定した。腫瘍部と腫瘍を認めない部位のおのおのの数値につき、検討した。
今回の検討では4例中2例において、カラーマップにより腫瘍部と非腫瘍部の血流の変化を確認できた。また、腫瘍部と非腫瘍部領域において、各パラメーター(PEI,BV,TTP)で血行動態の相違が見られ、腫瘍部は非腫瘍部に比較して血流の低下が認められた。
4例中1例においては、カラーマップにより腫瘍部と非腫瘍部の血流変化を指摘できなかった。ウインドウ幅・レベルを変更したところ、腫瘍部と非腫瘍部の血流変化を確認することが出来た。
4例中1例においては、腫瘍部・非腫瘍部と考えられる部位でcolor map・各パラメーターともに低下を認めなかった。原因としては、撮影時の呼吸性変動により誤差が生じた可能性が考えられた。また、組織型により腫瘍部位と非腫瘍部位の血行動態が類似していた可能性が考えられた。この症例では2回、dynamic CTを実施していたが、病変部位の把握はできなかった。
Perfusion CTにおいて、膵癌は非腫瘍膵実質と比較して乏血性であり、color mapでより暗いcolorを示し各パラメーターは低値を呈するとされる。しかしながら、今回の検討ではcolor map、及び、各パラメーターに差が認められない症例があった。 現在、当院における膵腫瘍に対するPerfusion CTの実施は、プロトコールにのっとり造影剤投与量を一律にして、ウインドウ幅・レベルも同一で撮影して評価を行っている。ROIの設定は、各症例ごとに異なる。今後、これらについて、さらなる症例の蓄積と検討が必要であると考えられた。