開催記録

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「第15回臨床消化器病研究会」

日時 2014年7月26日(土)8:45〜15:55
場所

グランドプリンスホテル新高輪
国際館パミール3階「北辰・崑崙」

〒108-8612 東京都港区高輪3-13-1 地図

TEL.03-3442-1111

会場費 3,000円
パンフレット 消化管の部 肝胆膵の部

消化管の部

主題1 大腸:「狭窄を来す大腸疾患」

司会:
鶴田 修 先生(久留米大学医学部 消化器病センター 内視鏡診療部門)
山野 泰穂 先生(秋田赤十字病院 消化器病センター)
病理指導:
二村 聡 先生(福岡大学医学部 病理学講座)
主題のねらい

臨床において腹部膨満感、便通異常、イレウス症状などを呈し、大腸に狭窄を指摘する症例は少なくない。狭窄の原因として、一般的には2型進行大腸癌が多いと考えられるが、4型、5型進行癌もあり、さらに原発性腫瘍に限らず多臓器癌からの転移、浸潤にて狭窄を来す場合もある。また、炎症性腸疾患、感染性腸炎、腸間膜脂肪織炎、腸管虚血などでも狭窄を来す場合がある。内視鏡検査主流の現在においてこれらの疾患を鑑別することは困難なこともあり、厳密な鑑別には注腸バリウム像、CT画像も含めた総合的検査所見が重要となる。

本セッションでは、様々な原因により生じる大腸狭窄の画像診断に関して知見を得ることを目的としたい。一部指定公募にて演題を募集したい。

主題2 食道:「食道扁平上皮癌の深達度診断−食道学会拡大内視鏡分類の有用性−」

司会:
高木 靖寛 先生(福岡大学筑紫病院 消化器内科)
門馬 久美子 先生(がん・感染症センター都立駒込病院 内視鏡科)
病理指導:
大倉 康男 先生(杏林大学医学部 病理学教室)

主題3 胃:「早期胃癌の深達度診断 −基本とピットフォール−」

司会:
長南 明道 先生(仙台厚生病院 消化器内視鏡センター)
細川 治 先生(国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院)
病理指導:
九嶋 亮治 先生(国立がん研究センター中央病院 病理・臨床検査科)
主題のねらい

ESDや腹腔鏡手術などの縮小手術においては厳格な適応が定められており、適応に合致するか否かの判断は不可欠である。中でも深達度診断は最も大切なファクターであり、重要性を増している。このような背景のもと、今回は早期胃癌の深達度診断を再びテーマに取り上げた。

内視鏡における胃癌診断の基本は通常観察である。深達度診断では、十分に胃壁を伸展させた状態で接線方向から観察し、硬化像の有無を診断する。さらに空気量や方向を変えながら観察し診断を確定する。内視鏡のみでは診断が困難な時は、X線検査や超音波内視鏡(EUS)などによる診断が有用となる。

これぞ典型的なSM癌という症例、M癌と診断したらSM癌(あるいは進行癌)であった症例、逆に浅かった症例、X線検査やEUSが診断に有用であった症例など、深達度診断に関わるさまざまな症例を公募する。選りすぐりの症例を通して深達度診断の根拠となる所見をともに学びたい。

多くの症例の応募を期待する。

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肝胆膵の部

主題1 肝:「非典型的画像所見を呈した肝細胞癌」

司会:
工藤 正俊 先生(近畿大学医学部 消化器内科)
吉満 研吾 先生(福岡大学医学部 放射線医学教室)
病理コメンテーター:
中島 収 先生(久留米大学病院 臨床検査部)
主題のねらい

肝細胞癌は、言うまでも無く日常診療で遭遇する最も頻度の高い肝腫瘍、所謂「common disease」であり、通常臨床情報ならびに超音波(単純、造影)、多相MDCT、MR(I 最近ではGd-EOB-DTPA造影が主流)等の画像情報によって診断される。これら画像所見は以前からよく研究され、それに基づく診断アルゴリズムも確立されたものがある。しかしながら、その高頻度さ故に非典型例に遭遇する機会が少なくない事も事実である。非典型所見の理由としては、一般的には変性に基づくもの(出血壊死、脂肪化など)、特殊な組織構築によるもの(硬化型癌、混合癌、肉腫様癌等)など様々な背景が考えられる。

本セッションでは、基調講演で肝細胞癌の典型的画像所見と現在の診断アルゴリズムを提示した上で、非典型的画像所見を示した肝細胞癌(多血性、乏血性を問わず)を多数集め、そのメカニズム及び鑑別診断上のピットフォールとしての位置づけを明確にしたい。画像検索が十分になされ、原則切除(場合によっては生検も可)によってその本態が確定した症例の多数応募を期待する。このセッションを通じて肝細胞癌非典型例に対するアプローチを体系化することを目指したい。

主題2 胆:「胆嚢管癌の画像と病理」

司会:
梛野 正人 先生(名古屋大学大学院医学系研究科 腫瘍外科学)
花田 敬士 先生(尾道総合病院 消化器内科)
病理コメンテーター:
柳澤 昭夫 先生(京都府立医科大学 人体病理学)
主題のねらい

胆嚢管癌は現行の胆道癌取り扱い規約では胆嚢癌に分類されているが、解剖学的に肝十二指腸間膜内や胆管に浸潤しやすく、胆管癌との鑑別が困難な場合がある。また胆嚢管癌にはFarrarの診断基準があるが、癌の主座が臨床的かつ組織学的胆嚢管に認められる場合も広義の胆嚢管癌として取り扱われている。

近年、画像診断の進歩により術前診断が可能であった胆嚢管癌の報告は次第に増加しているが、依然として画像による存在診断、病理学的確定診断は困難である。臨床的には無石性の胆嚢炎を契機に術後病理所見で診断される症例が散見され、病理学的には癌が胆嚢管と胆管に存在する場合、確定診断をどうするかなど解決すべき問題は多い。本セッションでは、詳細な画像診断で術前診断し得た典型的な症例、術前診断が困難であった症例、病理学的な確定診断に難渋した症例など、様々な胆嚢管癌の画像と病理を提示して頂き、現状の問題点を明らかにするとともに、診断精度を向上させるための方向性を討論したい。

主題3 膵:「膵癌とAIPとの鑑別困難例の画像と病理」

司会:
蒲田 敏文 先生(金沢大学 放射線科)
山雄 健次 先生(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科)
病理コメンテーター:
福嶋 敬宜 先生(自治医科大学附属病院 病理診断部)
主題のねらい

膵全体がソーセージ様に腫大し、膵管の狭小化を示す自己免疫性膵炎(AIP)の典型例では、診断に迷うことは少ない。しかし、限局性の腫瘤を形成し、胆管や膵管の閉塞を伴う症例では、膵癌との鑑別が困難であり、術後の病理組織診断でAIPと判明することも少なくない。また、臨床所見や画像所見からAIPと診断し、経過観察やステロイド治療にもかかわらず、腫瘤サイズが増大し結果として膵癌と最終診断された症例も経験される。本セッションでは膵癌との鑑別が困難で手術が施行されたAIP症例ならびに臨床所見や画像所見からAIPが疑われたにもかかわらず結果的に膵癌であった症例の画像ならびに病理所見の特徴を明らかにしたい。多数の演題応募を期待する。