代表世話人挨拶

第30回犬山シンポジウムは平成26年8月7日から8日の2日間にわたって例年のごとく名鉄犬山ホテルで開催されます。HBV発見から60年近い年月が、HCV発見から20年余り経過しました。B型肝炎はIFNと核酸アナログで多くの例で良好なコントロールが得られるようになり、C型肝炎はDAAの登場により飛躍的にSVR率が上がり、IFN freeの治療法も登場して参ります。

しかし、HBV carrierの多くは自然経過でウイルス量が著明に減少し臨床的治癒になる事から、B型肝炎ではどの患者を何時どの薬剤でどれくらいの期間治療するのか、また核酸アナログ長期投与による耐性株の出現など検討すべき点が残されています。C型肝炎にはprotease inhibitorのTPVに加え昨年からSMVも使用可能になり、遺伝子型2の難治例にTPVを加えた3剤併用療法が認可される見込みで、高齢C型肝炎患者からの発癌例が増加しており安全かつ効果の高い治療法の導入が重要になっております。

B型やC型肝炎起因の肝癌は減少しているものの、非B非C肝癌は確実に増加しており、その増加には主として生活習慣病をベースにした非アルコール性脂肪肝炎(NASH)起因の肝癌の増加の関与が考えられます。NASHは進行すると脂肪蓄積が消失し(burned-out NASH)診断が困難となることから、その実態は十分明らかにされていません。このような事実を背景に今回は前回同様B型肝炎、C型肝炎、肝癌をテーマに演題を募集することになりました。多くの会員からの演題応募の協力をお願いし、ご挨拶とさせて頂きます。

代表世話人 吹田医療福祉センター 総長 岡上 武